ペットの健康を考えたペットフードの活用

近年、犬や猫の健康を考えた「高品質・高機能ペットフード」が増加しています。また治療効果を上げるための“療法食”も増え、獣医療と共に、「ペットフード」もペットの健康を支える一助になると考えています。

動物病院に訪れるペットは、必ずしも「病気を患っている」わけではありません。発病を未然に防ぐための「予防」を意識した診療を行うことも我々獣医師の責務です。またペットの予防を考えた時、健康の維持、促進を図るには「食べ物」が重要になってきます。

食物アレルギー”は食べ物(材料)により起因することは知られていますが、私が日常扱っている「脳神経疾患」においても食べ物が関係あると言われ、その一つに「てんかん」についての研究が進められています。

近年、「グルテンフリー」のペットフードを与えることで “てんかん発症を軽減させる” という論文が報告されました。(参考) グルテンとは小麦に含まれるタンパク質の一つですが、これらを取り除いたフードを食べ続けることにより発作軽減が認められたという内容です。またDHA・EPAを含むペットフードも同様の効果が現れるという研究も行われており、100頭に1頭といわれる「てんかん」の患者が、食べ物によって今後減少するのではないかと期待されています。

ペットの寿命は年々上昇していますが、犬は人間に比べ1年に5~6倍成長します。食事の回数に置き換えると、人間の5日間の食事量は15回(1日3食)ですが、犬はたったの2回(朝晩)しか摂食していないことになります。

ペットにおいては1回の食事は掛け替えのない貴重な栄養源となり、ペットの寿命を左右させる大きな要因になると言っても過言ではありません。

ペットの健康を支える飼主様と共に、獣医療においても、高品質・高機能ペットフードを上手く活用することはとても重要と捉え、その関心を多くの獣医療従事者に持ってもらいたいと考えています。

神志那弘明 (KyotoAR動物高度医療センター センター長)

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